| 設計部門における『CAE解析技術』 |
有限要素法は、現在、 構造解析分野以外の各種分野でも採用されていますが 1950年半ば 欧米の航空機構造力学研究者達によって開発された技術であり 当初は 『マトリクス構造解析法』という名称でした。 日本には1965年になって 伝えられ 東大工学部マトリクス構造解析研究会 が先駆者役割 を務めました。 既に40年を超えた技術であり、最近は材料力学等の基礎技術無しでも、単なる ツール(ブラックボックス)として使える自動化ソフト (CAD⇒CAE)の入手も 可能となっています。 (物理現象や工学とは無縁のCAD的操作スキル活用) 世の中の最新技術動向 は CPU能力の増強、記憶容量アップ、各種解析ソフト の機能改善等により、間違いなくCAD⇒CAE自動化技術活用の方向に向かって いると考えますが若手技術者が一度は自分で考えてみる必要がありそうな項目 について 以下記述してみます。現実周囲状況に鑑み筆者が感じている事です。 |
1.計算機が自動的に計算してくれると考えて良いか? (CAEは魔法のツールではありません!) @計算機は利用者が与えた条件(構造,拘束,外力)の下に計算するだけ。 入力条件が妥当でなければ正しくない解が算出される。 (逆の言い方:ソフト操作スキルがあれば誰でも何らかの解が得られる。) A利用者が10人いれば、解析モデルの作成方法も10通りとなる。(熟練度要) |
2.CAE解析において専門知識は不要と考えて良いか? @解析入力条件の妥当性,解析結果の妥当性を判断できる(物理現象を理解できる) 工学専門知識は絶対に必要。 (単なるCAEソフト操作、すなわちスキルのみを習得する技術ではない。) A有限要素法の基本的な知識として,要素種類や形状と,適当な要素分割,境界条件 応力特異点問題など,解析モデル化に関する判断 及び 解析結果精度を判断 する 知識は最低限必要。 |
3.設計の理想である3D-CADから簡単にCAE解析可能? @一部の”単品等”には適用可能。(鋳物製品や厚板物などの一部) ソフトウエア開発メーカープレゼン事例等 (必ず実機製品での試用が必要) A薄板構造,溶接構造,また部品を組み合わせた全体構造では未だ適用は難しい と認識する。(毎年1度以上、ソフトウエア各社から最新情報取得中) B設計製作図面としての3D-CADデータがそのまま利用できるわけでない。 実作業時におけるCAEへの適用経験からすると、解析用としては、別に3D-CAD データの作成が必要になる場合が多々有り。(CAE解析用の3D−CAD) C設計者用とされる当該各種汎用解析ソフトには 自ずと適用上の制限がある。 (境界条件の制限,解析手法の制限等々だが、今後、より高機能化されるはず。) D計算に膨大な時間を費やす場合が報告されている。設計用ツールとしては課題残。 (採用要素種類の問題,P法等メッシュ分割の問題、解析モデル規模の問題)。 E3D-CAD→CAEの最大の売りは要素分割の自動化であるが,CAE解析は要素 分割以外の 必要な技術が多々あり、むしろそれ以外の部分に重要な解析ノウハウ がある。解析を実施する上においては設計者の解析モデル化哲学が重要。 (2枚の板に関し、”接着”機能を適用した場合、曲げ剛性妥当性に関し確認要。 CAD図的には1枚の板の上に他の板を載せているが材料力学的には4倍の曲げ 剛性となっている場合も有り得る。=外観と解析モデル機能とは異なる場合有。) |
4.試作や実験が全く不要になるとの考えは正しいか? @最終的には無駄な試作や実験等を回避することができるが、初期段階では実測 との対比が最低1回以上は必要。 A本質的に解析に用いる材料物性は実測でのみ得られる。(一般の便覧記載数値 が使えない場合も多々有リ得る。) B不確定な境界条件等は実測との対比にて解析モデルに反映すべき。 その事がモデル化技術の向上につながる。汎用ツールを使う上で、この”モデル化 技術確立”こそがCAE解析のノウハウ。 |
5.精密な解析モデルが良い解を与えると考え製品に忠実 なモデル作成にて必ず精度の高い結果が得られるか? @精密であることと正確である事は同義でない。例えば,細かい要素分割が必ずしも 正確な結果をもたらさない。 (場合によっては、詳細要素分割であるが故、課題の本質を見失う場合有) A解析対象の物理現象を十分理解(予想)し目的に応じた要素分割をする。 この為には要素分割のノウハウ以外に工学的センスを磨く必要がある。 (物理現象を十分把握できる基礎技術力が必要) |
6.CAEを適用した解析結果が得られれば全て評価可能? @切欠き底の疲労強度 ,溶接部強度,き裂問題,特異点問題等々,如何に要素 分割数を細かくしても、得られた結果(応力値) そのものでは、単純に評価でき ない特別な問題も存在している。これらの解析結果については、別途評価技術 が必要。(解析結果の評価技術は最重要事項) A得られた結果をどのように理解し,対象物を評価するか,信頼性評価方法等の 技術修得は重要。 |